ニコン・キヤノン一眼レフのオススメ単焦点レンズでのポートレート撮影

ニコン・キヤノン一眼レフのオススメ単焦点レンズでのポートレート撮影

私の周りにはブライダルなどの人物写真を得意とするカメラマンが多く、仲間内で集まればレンズの話題に花が咲きます。
皆、用途に応じて色々なカメラやレンズを使っていらっしゃいますが、多くの方がニコン(Nikon)・キヤノン(Canon)ユーザーで、仕事では「35mm判フルサイズ」の頻度が高く、レンズは純正の「70-200mm f2.8」を使われています。
しかし、よく話題に上るのはポートレートに使う単焦点レンズだったりします。

※表紙画像は「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」 f1.4 ISO100 D750


ポートレート・人物写真にオススメなレンズ

各社から出ている「70-200mm f2.8」のレンズですが、望遠側で撮影すれば近所のちっちゃな公園でも背景の余計なものを排除してシンプルに被写体を際立たせるポートレートが撮れます。
プロの現場では時間の制約もあるので、幅広い焦点域をカバーする高性能なズームレンズは必須で、AFが速くピント精度も高い純正レンズを使用されている方が多いです。

ただ、単焦点レンズの持つ切れ味に魅力を感じるプロのカメラマンは非常に多いです。
望遠単焦点レンズは置いておくとして、標準~中望遠単焦点レンズの小型軽量で大口径を生かしたスナップポートレート撮影はとても魅力的です。

その中でも、特に注目されることの多い2つのレンズがあります。

ニコンの単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」

ニコン 単焦点レンズ AF-S NIKKOR 58mm f1.4G

通常レンズ開発はマーケティング部門などで収集した情報を元に、設計部門と協議して行われるのが主だと聞いています。
しかし、このレンズは1人の設計者が30年近く温めていた構想を実現するために声を上げて開発に向けて動いたそうです。
私自身、その設計者が近年作った「AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G(2010年発売)」には非常に魅力を感じていたので、発売前からとても気になっていたレンズでした。
ピント面がシャープに写ることを追及するのではなく(実際はピント面も十分にシャープですが)、ピント面からピントがあってないところはぼけていく訳ですが、そのぼけていく様に拘ったレンズで、まさにポートレートを撮るために生まれたようなレンズだと思いました。

さらに、このレンズにはもう一つの顔があるんです。
昔からのカメラファンの方ならば58㎜と聞いてピンときたと思いますが、1977年に発売した「Ai Nikkor 58mm F1.2 Noct」通称ノクトニッコールというレンズがあります。ノクトニッコールは夜景撮影に重きを置いたレンズでした。大口径レンズは通常開放付近で点光源を撮影すると、点光源が画面周辺部で鳥が羽を広げたような形状になるサジタルコマフレアという現象が起こります。
折角の明るいレンズをこの現象が起きないように絞って撮影するユーザーが多かったのです。特に夜間の撮影でこのサジタルコマフレアは画面周辺で非常に気になるものでした。
しかし当時の設計者たちはそれを克服し、開放付近でも点が点に写るレンズを世に送り出したのです。

「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」はその思想をも受け継いで、開放での夜景すら美しく切り取ってしまうのです。
無限遠でのシャープネスが非常に高くなるように設計されたこのレンズは風景写真はもちろん、夜景写真で威力を発揮します。
私自身もポートレートに夜間での撮影と非常に使用頻度の高いレンズなのですが、実際その期待を上回る性能と描写力でした。

キヤノンの単焦点レンズ「EF85mm F1.2L II USM」

キヤノン 単焦点レンズ EF85mm F1.2L II USM

2006年に前機種「EF85mm F1.2L USM(1989年発売)」の後継として発売した開放F値1.2を誇る弩級の単焦点レンズです。前機種より引き続き高精度研削非球面レンズとフローティング機構を採用し諸収差を良好に補正。Ⅱ型ではコーティングの最適化によるゴースト・フレアの軽減や円形絞りの採用、AFの高速化が図られています。

画質面では基本的にはⅠ型を引き継いでいますが、デジタル化に向けてコーティングが見直されたことや、円形絞りの採用は非常に大きいでしょう。
特にAFに関しては、Ⅰ型はこれならMFで使うよっていう人もいたほどでした。当時はそういうレンズも多かったとは思いますが。私はAFが使えるレンズは積極的にAFを使いたいので、この改良は非常に良かったと思います。
Ⅱ型のAFがすごく速い…ということではないのですが、ポートレート撮影では十分でしょう。

「5Dmark2」で子供たちの撮影となると少し不満もありましたが、「1Dx」もしくは「5Dmark3」ではほぼストレスなくAFが動いてくれます。
85㎜単焦点レンズとしては超重量級と言ってもいい1025gですが、大口径ズームレンズに慣れていればさほど気になる重さではありません。実際に35㎜判フルサイズで開放F値1.2という数値が出せるレンズは限られていますし、1.2での極端に浅い被写界深度の魔力に嵌ればそういったことはどうでもよくなることでしょう。
ラインナップに35mm判フルサイズのレンズで開放F値が1.2でAFが使えるものがあるだけでも大変価値があり(キヤノンは他にも「EF50mm F1.2L USM」もある)
この描写が気に入ればぜひとも手に入れたいレンズだと思います。

最新の「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」、息の長い「EF85mm F1.2L II USM」、やはり高価という理由だけで話題になっている訳ではないようです。魔物が棲んでいるという表現が正しいかわかりませんが、大変魅力的なレンズだと思います。

作例

私は両レンズを同時に持ち出す機会は少ないのですが、どんな感じなのか見せてほしいと頼まれたこともあって、今回ここで少し取り上げてみます。

今回はいずれも開放付近で撮影したものばかりを集めてみました。どちらのレンズも5.6くらいまで絞っても、違った表情を見せ、ぼけの奥行き感にハッとします。そういった作例も機会があれば紹介したいと思います。

ニコン 「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」キッズモデル写真

ニコン 58mm f1.4 写真

model : Yuna / f2 / ISO100 / D4s

横顔なので、少し絞って「f2」で撮影。ピントは右目に。
ぼけの輪郭は薄く、柔らかい。画像サイズが小さく確認し辛いが、髪の毛がなだらかにぼけていく様子が滲んでいくような印象を受ける。
非常に好きなぼけ方で、立体感を演出してくれます。

キヤノン「EF85mm F1.2L II USM」キッズモデル写真

キヤノン 85mm f1.2 写真

model : Yuna / f1.2 / ISO50 / 5Dmark2

開放1.2での撮影。正面を向いてもらったので、両目にピントはきています。
光の当たっている髪の毛の部分は急激にぼけはじめている。
画面左に大きな口径食がでているが、大口径レンズを開放で使っているので仕方ないだろう。
ぼけ自体の輪郭は薄く、柔らかい印象。
こちらは、開放ということもあり急激なぼけと浅い被写界深度。

58㎜のなだらかなぼけと、85㎜の急激なぼけ。
好みは分かれるところですが、どちらも癖になりそうですね。

ニコン「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」子供写真

ニコン 58mm f1.4 子供写真

f1.6 / ISO100 / D810
※縦写真をトリミングしています

立ち上がる瞬間から走り出すまですべての写真のピントが子供の顔に合っていました。
AFの速さ、正確さは新しいレンズということもあるが素晴らしい。走って子供を追いかけながら撮影したこともあるが、そのときもほとんどのカットでピントを捉えていた。

キヤノン「EF85mm F1.2L II USM」子供写真

キヤノン 85mm f1.2 子供写真

f1.6 / ISO100 / 5Dmark3
※縦写真をトリミングしています

撮影時後方からおもちゃを見せ、親指AFでサーボにしていたが立ち上がる瞬間はピントが外れてしまった。
AFの初動の遅さはこのレンズの欠点だと思うが、大人のポートレートを撮影する場合は問題ないだろう。

ニコン「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」人物写真

ニコン 58mm f1.4 人物写真

f1.4 / ISO100 / D800
※縦写真をトリミングしています

モデルの手をクローズアップしたくて、開放1.4で撮影しました。静止してもらったわけではないが、髪を触ってほしいとの要望に応えてもらったものだ。
瞬間でもしっかりと狙ったところを捉えられるAFは頼もしい。花壇のぼけ方も美しい。

キヤノン「EF85mm F1.2L II USM」人物写真

キヤノン 85mm f1.2 人物写真

model : Yuu / f2 / ISO200 / 5Dmark2
※縦写真をトリミングしています

モデルが見つめている桜と横顔にピントを合わせたくて「f2」にした。焦点距離にもよるが個人的に横顔ではこのくらいの絞りをよく使う。
背景の桜は雪が積もっているかのようにぼけており、ほとんど色だけといった感じだ。
大人のポートレート撮影ではAFが気になることもないかと思います。
余談だが、静止できる被写体は、マニュアルのオールドレンズやティルト・シフトレンズ などで撮影しても面白い。

ニコン「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」f3.5

ニコン AF-S NIKKOR 58mm f:1.4G 絞り値3.5

model : Miu&Yuta / f3.5 / ISO220 / D4s

姉弟のモデル2人に顔を寄せ合ってらい、ピントを合わせたかったので「f3.5」まで絞った。
背景の所々にある玉ボケは、円形絞りが非常によく出来ており、綺麗な丸形だ。ニコンの忠実な色再現によって、撮影時の情景が目に浮かびます。

キヤノン「EF85mm F1.2L II USM」f2.8

キヤノン EF85mm F1.2L II USM 絞り値2.8

f2.8 / ISO100 / 5Dmark2
※縦写真をトリミングしています

女性が抱っこしているワンちゃんにもピントを合わせるために「f2.8」に絞りました。
口径食も目立たなくなり、円形絞りの採用により玉ボケも非常に綺麗で、発色も非常に良いです。

駆け足で作例を紹介させていただいたが、この2本のレンズは間違いなく魅力的なレンズなので、またじっくり撮影して、絞った時の表情の違いに加え「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」での夜景撮影などもご紹介できればと思います。

コストパフォーマンスの高い、お勧めのポートレートレンズ

今回2大メーカーの2つの大変魅力的なレンズを紹介させていただいたわけですが、如何せんお値段が…
「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」¥150,000~¥20,0000
「EF85mm F1.2L II USM」¥190,000~¥290,000
※価格.com参考

しかし、価格では図れない猛者レンズたちもいます。

ニコンなら「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」がオススメ

ニコン 中望遠単焦点レンズ AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G

特にニコンの「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」は2012年に出た比較的新しいレンズで、光学的にも素晴らしく、ぼけも美しい。ニコンの「f1.8」シリーズはどれも設計が新しく素晴らしいレンズばかり。
さらに、現在5万を切る価格はバーゲンプライスと言っても良いです。

対してキヤノンのEF85mm F1.8 USMは1992年の発売で、一刻も早いリニューアルが望まれますね。
しかし、フィルム時代のこのレンズでも写りが厳しいということはなく「強めの逆光」などの厳しい条件でなければ、現在でも十分だと思います。カリッとした描写が好きな人にはお勧めはできませんが・・・。

私は硬い写りが好きというわけではないですが、髪の毛1本1本などの細かい描写が好きというのもあり、鮮鋭感の高いニコンのカメラとレンズをメインで使う理由の一つとなってます。
「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」は開放で柔らかくピント面はシャープで絞り込むほどに表情を変えてくれる、ニコンでポートレートを撮るユーザーにはオススメのレンズです。

キヤノンなら「EF135mm F2L USM」がオススメ

キヤノン 大口径・望遠レンズ EF135mm F2L USM

キヤノンが「85mm」をリニューアルすれば、間違いなくそれを推すと思います。
2012年にすでに新型の85㎜f1.8の特許は出されているようなので、遠い話ではないでしょう。
同社の人物撮影によく使われる焦点域のレンズはフィルム時代の物が多いですが、EOS 5Ds/5Ds Rのような高画素機も登場することですし、今後最新設計の素晴らしいレンズを出してくることと思います。

今回取り上げた「EF135mm F2L USM」も古いレンズで実売10~14万程度するレンズなのですが(中古はお求め易いですよ)、長めの135mmで開放F値が2ということもあり、とろけるようなボケが魅力的です。
135mmという焦点距離は慣れると本当に使いやすいので、購入された方はぜひ使い込んで欲しいですね。
焦点距離が少し長くなるだけでここまで雰囲気が変わるのだから単焦点レンズは本当に面白い。メイン機がキヤノンのときはこればかり使っていました!

純正以外のレンズではシグマの「85mm F1.4 EX DG HSM」がオススメ

シグマ 単焦点レンズ 85mm F1.4 EX DG HSM

非常に高い光学性能を持っており、キヤノンユーザーにとって有力な選択肢の一つになると思います。
サードパーティ(純正以外)に、カール・ツァイスなどの魅力的なレンズもありますが、今回は子供撮影もできるAFがついているレンズという個人的事情でシグマにしました。

レンズは最新設計が良いに越したことはないと思いますが、「古いレンズにしかない魅力」があるのも事実です。
ただ、各社のポートレートに適した単焦点レンズは、光学性能を追うことだけをせず、描写の表情も考えて作られています。
店頭で試したり、作例を見たりして自分に合ったレンズを見つけるのもカメラを楽しむ醍醐味のひとつではないかと思います。

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記事を書いた人

吉野

フォトグラファー / NPS

吉野 克彦

Katsuhiko Yoshino

スポーツフォトグラファー、イベントカメラマンとして活動してきました。 地元で愛されるカメラマンを目指して、心のこもった写真を撮り続けて行きたいと考えています。 2013年よりkids時計のカメラマンやWebサイトの広告をはじめ、多くの撮影の機会を頂いております。 カメラマン活動に加え、ニコンフォトスクウェア福岡にて定期的に個展も行うなど活動の幅を広げています。

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